元ハロワ職員<br>佐藤この記事は、元ハローワーク職員の私が監修しています!
皆さんにより良い情報をお届けいたします。
- 条件を満たしているはずなのに会社が雇用保険に加入させてくれない…
- 雇用保険に未加入なのは泣き寝入りするしかないのかな
このようにお悩みではありませんか?
雇用保険とは、労働者が失業したときに生活を保証する保険のことです。雇用保険の加入には条件があるものの、原則加入の保険となっています。しかし、中には雇用保険に加入させずに従業員を雇う企業もあります。
雇用保険に未加入だと、失業手当などを受け取ることができません。
元ハロワ職員<br>佐藤そこで本記事では、雇用保険に未加入だと泣き寝入りをするしかないのか、未加入の場合の具体的な対処法を3つ紹介します。
あわせて、雇用保険に未加入時によくある質問も答えているため、ぜひ最後までご覧ください。
今すぐ退職後の手当を詳しく知りたい方は、「転職×退職のサポート窓口」に相談するのがおすすめです。
- 転職・退職後に経済的な不安がある
- 失業保険がもらえるか不安
- 今の会社に不満があるものの退職に踏み切れない
「転職×退職のサポート窓口」では、退職後に給付金を受け取るサポートをしてもらえます。相談は無料なので、退職を検討している方はまず問い合わせてみるとよいでしょう。
本コンテンツ(退職の手引き)は、読者に価値のある情報を提供することを目的として独自の基準に基づき制作しています。≫コンテンツ制作・運営ポリシー

雇用保険に未加入でも泣き寝入りする必要なし!

雇用保険に未加入であっても泣き寝入りする必要はありません。雇用保険への加入は会社の義務であり、未加入状態での放置は法律違反にあたります。
- 雇用保険に未加入の場合に発生する退職後の影響
- 雇用保険への加入は会社の義務
- パート・アルバイトでも未加入は違法となるケースあり
ここでは、次の3つに関して説明をします。
罰則や対処法を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
雇用保険に未加入の場合に発生する退職後の影響
雇用保険に未加入だと、退職後に生活をサポートする給付を受けられなくなります。具体的には、以下のものを受けることができません。
雇用保険に未加入で受けられないもの
- 育児休業給付金、介護休業給付金などの雇用継続給付
- 教育訓練給付金などの教育訓練給付
- 失業手当(基本手当)などの求職者給付
- 再就職手当や就業手当などの就職促進給付
上記の給付を受けることによって、退職したり育児や介護休暇を取ったりしても、生活の安定を図ることができます。
しかし、雇用保険に未加入だと給付を受けられないため、生活に大きな影響が出るでしょう。
雇用保険への加入は会社の義務

前提として、雇用保険は強制加入です。雇用保険に加入するための条件はあるものの、事業主に対して懲役6ヵ月以下、もしくは罰金30万円のペナルティが課されます。
未加入はもちろん、雇用保険の加入対象者がいないなどの虚偽申告も罰則の対象です。雇用保険の負担は大きいことから、未加入のままにしている企業もあります。しかし加入対象にも関わらず、雇用保険に未加入の企業は違法です。
パート・アルバイトでも未加入は違法となるケースあり
雇用保険は原則加入であり、加入できないのは以下のいずれかに該当する方です。
- 31日以上の雇用見込みがなく、1週間の労働時間が20時間未満の方
- 昼間が学生の方
- 会社の役員・事業主の同居の親族で従業員だと認められない方
- 季節的事業で雇用期間が4ヵ月以内の期間を定めて雇用される方または一週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の方
- 公務員の方(国、都道府県、市町村等に雇用される方)
- 個人事業主で会社に雇用されていない方
上記に該当しない場合は、パート・アルバイトであっても雇用保険の加入対象者です。学生ではない、かつ週20時間以上働いていて雇用保険に未加入の場合は、違法の可能性があります。
元ハロワ職員<br>佐藤日雇労働者であって、適用区域に居住し適用事業に雇用される等の要件に該当しない者も対象外です。
雇用保険に入れてくれない・未加入の会社が受ける罰則

雇用保険に入れてくれない・未加入の会社は罰則の対象です。
具体的な罰則や流れを以下の項目に分けて紹介します。
- 事業主に懲役6ヵ月以下もしくは30万円以下の罰金
- 罰則を受けるまでの流れ
それぞれの項目を詳しく見ていきましょう。
事業主に懲役6ヵ月以下もしくは30万円以下の罰金
加入対象にも関わらず雇用保険に未加入の場合は、事業主に懲役6ヵ月以下もしくは30万円以下の罰金が課されます。
前提として、雇用保険の加入手続きは労働者が行うものではなく、会社がするべきことです。雇用保険に加入しているか確認する方法にて自分が未加入だとわかった場合は、本記事で紹介する対処法を速やかに行いましょう。
罰則を受けるまでの流れ【3STEP】
罰則を受けるまでの流れは、以下の通りです。
- 労働局に申告などがされる
- 同申告に基づく調査が行われる
- 違反を是正するよう指導・勧告がされる
従業員を加入保険に加入させない場合、ペナルティが生じますが、すぐに処罰されるわけではありません。これは手続きの遅延や、やむを得ない事情が考慮されているためです。
とはいっても、指導・勧告をされても手続きを行わない場合は、懲役6ヵ月以下もしくは罰金30万円が課されます。
雇用保険に加入しているか確認する2つの方法

雇用保険は原則加入ですが、条件を満たしていない場合は加入ができません。条件があることから、そもそも自分が加入しているか分からない方もいるでしょう。
- 給与明細の確認
- 雇用保険被保険者証を持参してハローワークにて確認
まずはこれから紹介する内容をもとに、自分が雇用保険に加入しているか確認してみましょう。
①給与明細の確認
1つ目が給与明細を確認する方法です。雇用保険に加入している場合、保険料は給料から控除されるのが一般的です。給与明細の控除欄に「雇用保険料」と記載されて、天引きされているか確認しましょう。
金額が記載されていれば、雇用保険に加入している証拠です。ただし、中には給料から雇用保険料を天引きしておきながら、実際は未加入の悪質な企業もあります。加入しているか確実に確認したい場合は、次の方法で確認しましょう。
②雇用保険被保険者証を持参してハローワークにて確認
2つ目が雇用保険被保険者証を確認する方法です。雇用保険に加入しているかを確認できます。
元ハロワ職員<br>佐藤雇用保険被保険者証が発行されていれば雇用保険の取得は済んでいるので、持参しなくても大丈夫です。本人確認書類さえあれば調べてもらえます。
具体的な確認方法は、以下のとおりです。
- ハローワークのホームページ、もしくはハローワークにて「雇用保険被保険者資格取得届出確認照会票」を入手して必要事項を記入する
- 本人確認書類を用意する
- 会社の所在地、もしくは自宅を管轄するハローワークの窓口に提出
- 後日、結果が記載された「雇用保険被保険者資格取得届出確認照会回答書」が送付される
なお、雇用保険被保険者証は入社した時点で渡されますが、会社で保管していることがあります。そのため、もらっていなければ労務関係の部署に確認をしましょう。
元ハロワ職員<br>佐藤会社控えと本人控えが発行されます。
ハローワークから労働者へ「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(被保険者通知用)」と「雇用保険被保険者証」を渡すよう指示がなされています。
雇用保険に加入する2つの条件

ここでは、あらためて雇用保険に加入する条件を詳しく紹介します。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 雇用見込みが31日以上であること
昼間学生ではなく、雇用保険に未加入だと泣き寝入りするしかない?具体的な対処法を3つ紹介です。パート・アルバイトなどの雇用形態は問いません。
それぞれの条件を詳しく見ていきましょう。
①1週間の所定労働時間が20時間以上であること
1つ目の条件は、1週間の所定労働時間が20時間以上であることです。法定休日、所定休日を含まずに、20時間以上あることが条件です。
残業や休日出勤は含まれないため、注意してください。当然ですが、もしも1週間の所定労働時間が20時間に満たない場合、雇用保険に加入はできません。
②雇用見込みが31日以上であること
2つ目の条件は、雇用見込みが31日以上であることです。他にも以下の項目に該当する場合は、雇用見込みが31日以上とみなされて加入対象となります。
- 期間の定めがない
- 雇用期間が31日以上
- 雇用契約に更新する場合がある旨の規定があり31日未満での雇止めの明示がないとき
- 雇用契約に更新規定はないが同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用
- された実績があるとき
また、採用当初は31日未満の雇用であっても、31日以上の雇用になった時点で雇用保険に加入する必要があります。ただし、1週間の所定労働時間が20時間未満の場合は、雇用期間が31日以上であっても雇用保険の加入対象とはなりません。
雇用保険に未加入でも泣き寝入りしないための3つの対処法

雇用保険に加入しないと失業保険はもらえません。雇用保険の加入対象者でもあるにも関わらず、加入しておらず放置しているのは大きな損です。早急に対処をしましょう。
泣き寝入りせずに対処する方法は、以下の3つです。
- 会社に雇用保険の加入を要求する
- 徴収されていた雇用保険料を返還してもらう
- 雇用保険料を後から納付する
それぞれの対処法を詳しく見ていきましょう。
会社に雇用保険の加入を要求する
1つ目が会社の雇用保険に加入を要求する方法です。雇用保険に意図的に加入させていないのではなく、単に加入手続きを忘れている可能性もあります。
その場合は雇用保険の加入を要求すれば、手続きをしてくれるはずです。要求が早ければ早いほど、失業保険の受給に間に合う可能性が高くなります。雇用保険の加入を要求したにも関わらず手続きをしてくれない場合は、通報せざるを得ないと伝えて交渉しましょう。
徴収されていた雇用保険料を返還してもらう
2つ目が徴収されていた雇用保険料を返還してもらうことです。悪質な会社ともなれば、給料から保険料を徴収していながら未加入なケースもあります。
今後も雇用保険に加入する様子がないのであれば、徴収された額を返すように要求しましょう。
元ハロワ職員<br>佐藤給与明細で雇用保険料を徴収されていることがわかれば、2年を超えて遡及適用(雇用保険の加入)が可能です。
雇用保険料を後から納付する
3つ目が雇用保険を後から納付する方法です。前提として、失業保険を受給するためには、雇用保険に一定期間加入する必要があります。そして、雇用保険の加入を要求して会社が加入手続きをしても、それまでの期間は未加入です。
つまり、雇用保険への未加入が発覚した時期によっては失業保険をもらえなくなるかもしれません。受給できなくなる問題を回避するためには、雇用保険を後から納付する必要があります。手続きをして雇用保険料を後から納付すれば、失業保険を受給できます。
元ハロワ職員<br>佐藤契約書などで加入要件を満たしていることがわかれば2年まで遡って遡及適用ができます。
雇用保険の未加入時期があるにも関わらず退職をした場合、失業保険の受給日数が減ります。
たとえ退職直前や失業後に納付をしても、受給日数は短縮されます。
そのため、未加入の期間があった場合は速やかに納付をしましょう。
| 雇用保険への加入期間 | 最大受給日数 |
| 20年以上 | 150日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 10年未満 | 90日 |
なお、以下の記事では失業保険が受給できる期間を紹介します。条件や具体的な手続きの流れが分かるので、受給を検討している方は参考にしてください。

失業保険の計算シュミレーション(自動計算ツール)で給付額の確認
雇用保険が未加入の場合に失業保険を受け取る手順【4STEP】
雇用保険が未加入の場合でも、失業保険を受け取るための手順は以下の4つのステップに分けられます。
- 雇用保険の加入資格を確認する
- 過去分も含めた加入手続きを事業主に依頼する
- 雇用保険料をまとめて支払う
- 離職票を発行してもらい失業保険を申請する
条件を満たせば遡って加入手続きを行うことで、未加入の状態でも、失業保険を受給できる可能性があります。ここでは、各ステップを詳しく解説していきます。
1.雇用保険の加入資格を確認する
まずは、自身が雇用保険の加入条件を満たしているかどうかを確認します。加入の条件は以下の2点です。
- 週20時間以上勤務していること
- 31日以上継続して雇用される見込みがあること
正社員であれば、ほとんどの場合で基準を満たしています。自身が加入条件を満たしていることを確認できれば、次のステップへと進みましょう。
パートやアルバイトの場合も、労働時間と雇用期間が条件を満たしていれば、雇用保険の加入は法的義務となり、加入の対象となります。
2.過去分も含めた加入手続きを事業主に依頼する
加入条件を満たしていることが確認できたら、過去に遡って雇用保険の加入手続きを事業主に依頼します。まずは、雇用保険の加入条件を満たしていた期間を洗い出しましょう。
一般的には、離職日以前の2年間で12ヵ月以上加入していれば、失業保険の受給が可能です。該当期間に関しては、事業主に雇用保険の加入手続きを依頼します。
加入が認められれば、該当期間まで遡って手続きを行ってもらうことになります。未加入の期間が長ければ長いほど、手続きは複雑になるため、早めの対応が重要です。
3.雇用保険料をまとめて支払う
加入手続きが完了したら、未払いの雇用保険料を支払う必要があります。保険料は「賃金×雇用保険料率」で計算されます。
令和7年度の雇用保険料率は、労働者負担5.5/1,000(農林水産・清酒製造の事業、建設の事業に従事する労働者負担は6.5/1,000です。)、事業主負担は9/1,000と定められています。過去分もまとめて支払う必要があるため、金額が大きくなることもありますが、失業保険を受給するためには必要な手続きです。
雇用保険料率が5.5/1,000ではイメージしにくいと思うので、下記の計算例をご参考にしてください。
まずは総支給額を1000分の1にして、労働者負担の数値(5.5)をかけて計算するとわかりやすいです。
総支給額が20万円の場合は、200×5.5=1100円(1ヶ月分の雇用保険料額)
総支給額が35万円の場合は、350×5.5=1925円(1ヶ月分の雇用保険料額)
となります。
保険料の支払い方法は、事業主と協議して決めましょう。一括払いが難しい場合は、分割払いを検討するのも一つの方法です。
参考:令和7(2025)年度 雇用保険料率のご案内|厚生労働省
4.離職票を発行してもらい失業保険を申請する
雇用保険料の支払いが完了すれば、正式に雇用保険の加入者として認められます。事業主に離職票を発行してもらい、ハローワークで失業保険の申請を行いましょう。
ここから先は、一般的な失業保険の申請手続きと同様に進むことになります。必要書類を揃え、ハローワークの指示にしたがって手続きを進めましょう。
申請が受理されれば、所定の期間、失業保険を受給できます。未加入の状態でも、履歴を遡って手続き可能です。

雇用保険へ未加入だった場合の会社への損害賠償請求は可能か
雇用保険へ未加入だった場合、会社に対して損害賠償の請求は可能なのでしょうか。以下の3つの点から解説していきます。
- 雇用保険の未加入は「債務不履行」で損害賠償請求が可能
- 損害賠償の請求方法
- 満額請求は困難
雇用保険への加入は会社の法的義務であり、未加入の場合は債務不履行に該当します。従業員は損害賠償請求権を持ちますが、請求方法や認められる金額には注意が必要です。
以下では、各ポイントを詳しく解説していきます。
雇用保険の未加入は「債務不履行」で損害賠償請求が可能
雇用保険への加入は、事業主に課された法的義務です。会社が雇用保険の加入手続きを怠った場合、契約上の義務違反と評価され、民法上の債務不履行に該当します。
従業員は、会社に対して損害賠償請求権を持つことが可能です。雇用保険に加入していれば受給できたはずの給付金と同額の損害が認められるケースがあります。
具体的には、失業保険や育児休業給付金など、本来受け取れたはずの給付金の受給機会を失ったことによる損失額が、請求の対象となります。ただし、損害額の証明が求められるため、請求には十分な準備が必要です。
損害賠償の請求方法
損害賠償を請求する際は、まず会社に対して書面で請求を行います。請求書には、受け取れなかった給付金の額や根拠となる法律、損害の内容を具体的に記載しましょう。
内容証明郵便など、後から証拠として残る方法で請求書を送付するのが望ましいとされています。会社が応じない場合は、ハローワークや労働基準監督署に相談し、行政指導を求めることもできます。
それでも解決しない場合は、労働審判や訴訟など、裁判手続きで解決を図ることも選択肢の一つです。ただし、裁判にはコストと時間がかかるため、慎重な検討が必要でしょう。
満額請求は困難
損害賠償請求を行う際は、実際に受け取れなかった損害額の証明が求められます。損害額が不明確な場合は、減額されるかもしれません。
また、労働者側にも雇用保険加入の確認義務があったと判断された場合、過失相殺により賠償額が減ることもあります。失業手当の給付日数や金額は個別の事情によって決まるため、必ずしも最大額が認められるわけではありません。
さらに、損害賠償請求ができる期間は時効(原則10年)により限定されるため、早めの対応が必要となります。満額を請求しても、全額が認められるとは限らないのが実情です。
損害賠償額は、最終的に裁判所の判断で決定されることを理解しておきましょう。
雇用保険の未加入でよくある質問

ここでは、雇用保険の未加入でよくある質問を2つ紹介します。
- 雇用保険への未加入はバレますか?
- 雇用保険に未加入が発覚・通報したらどうなる?
それぞれの質問に詳しく回答するため、ぜひ最後までご覧ください。
コンテンツの訂正・誤り報告フォーム退職後の手当を確認するなら「転職×退職のサポート窓口」にご相談ください!

雇用保険は労働者が失業した後の生活をサポートするうえで、欠かせない保険です。加入には条件がありますが、条件を満たせば強制加入です。具体的には学生ではなく、週20時間以上の所定労働時間、31日以上の雇用見込みがあれば加入対象となります。
パート・アルバイト、正社員などの雇用形態は問いません。加入対象であるにも関わらず雇用保険に未加入の場合は、会社が違法の可能性があります。
まずは本記事で紹介した内容を参考にして、泣き寝入りをせずに対処法を行っていきましょう。
すぐ退職後の手当を詳しく知りたい方は、「転職×退職のサポート窓口」に相談するのがおすすめです。
- 転職・退職後に経済的な不安がある
- 失業保険がもらえるか不安
- 今の会社に不満があるものの退職に踏み切れない
「転職×退職のサポート窓口」では、退職後に給付金を受け取るサポートをしてもらえます。相談は無料なので、退職を検討している方はまず問い合わせてみるとよいでしょう。





